Tamaki Nishimuraのブログ

訪日観光、インバウンド向け体験の事業やってます

京都の商店街の豆腐屋にベルギー人が来た話

前回のブログで紹介した商店街の豆腐屋さんに、初めてのゲストからの予約がありました。 

こちら、前回のブログ記事。

tamakinishimura.hatenablog.com

 

ベルギー人が豆腐体験。亀さん初めて外国の人と話す。

私が自転車で(また自転車)豆腐福井屋へ向かってると

少し先の花壇のヘリにちょこんと座っているハンチングハットをかぶった男性がいた。

 

背が高くて、金髪の髪。 

彼はベルギー出身のティモシー。日本は初めてで 一人旅をしているらしい。

 

私)「お母さん、きはりましたよ、ゲストさん。すぐ近くで待ってはりましたよ〜。」

お母さん)「あれ、工事の人やと思ってましたわ」

 

(絶対ちゃうやん!笑)

 

豆腐職人ホストの、亀さんも奥から出てきました。

 

亀さん)「ようきたね。朝早くからこんな変わったツアーに体験するんやから、豆腐のことはよう知ってるん?」

ティモシー)「知りません。」

 

本当、そう。京都の北の果てにある、何でもない豆腐屋さんに

ベルギーから一人で豆腐作りを学びにきてる。。(本当、不思議な事が起きてる。。)

 

しかもこの日、8月の暑い中、

ティモシーは伏見稲荷に登山してから、自転車でこの豆腐屋まできたらしい。

(距離、11km。自転車だと、1時間以上かかるで。。)

 

亀さんは、爆笑。「知らんとようきたな〜!そうか、ほなイチからおしえたるわ。」

 

、、朝の9時からめっちゃテンションの高い亀さん。

奥からお揃いのエプロンを取り出して、着せてあげてました。

 

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師匠亀さんと同じエプロンを着せてもらう弟子ティモシー。

 

準備はできたところで、豆腐作りの開始。

 ティモシーにとっては豆腐を作る工程をみるのは初めて。

亀さんは丁寧にティモシーに一つ一つ教えて行きます。

 

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「しっかり腰入れて!はい!」と指導する亀さん。頑張るティモシー(笑)


まずは豆を機械に入れて、豆を潰しながら水を混ぜます。するとドロドロになった豆が出てくる。

 

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次の機械に入れて、水分と固形に分ける。これで、水分は豆乳になり、固形はおからになります。

 

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大量のおから。こちらは、お母さんが料理をしてスーパーに並びます。


「おからって聞いた事ない」ってティモシーがいうから、

豆腐のカスだよな〜と思って「普段はすてちゃうん部分だよ、Tohu trash」って訳した私。

明らかに嫌そうな顔をしたティモシー。

 

*後で調べてみると、おからは日本特有のものなので英語は存在しないみたい。あえて訳そうとすると、Tohu pulpだそうです。ごめんティモシー。。

 

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豆乳をバケツに移動させるティモシー。

 

「ほら、しっかり両手で持たなこぼすで!!腰入れて!!!」と亀さん。。

 

この後、出来立ての豆乳を飲ませてもらいました。あったかくて美味しい!!

この福井屋さんは京都の中では有名なお寺、大徳寺の近くにあるので参拝帰りの観光客に無料で豆乳を提供しているそうです。

 

次に、バケツに入れた豆乳を、型に流し込みます。

 

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簡単そうに見えるけど、これが結構重いんです。。


 この後は師匠、亀さんにお任せします。型に入れた豆腐を寝かせて、その上から重石を置いて硬くなるまで、待ちます。

 

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これで、豆腐作りは一旦終了。

 

そこでお母さん、

「時間あるんやったら、上がってくか〜」

 

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亀さんのお店は古き京都の町家。築120年以上だそうです。

 早速、お家の居間に上がらせてもらいました。

 

亀さんはその間、豆腐の配達へ。

  

お母さん手作りの豆腐尽くし料理

作りたての色々な豆腐を食べ比べさせてもらいました。

 

まず、ノーマルな豆腐を食べたティモシー。

「ちゃんと大豆の味がする!!!」と。ベルギーで食べる豆腐は無味で、こんなに大豆の味はしないよ。との事。

日本でも、スーパーで買う豆腐はこんなに豆の香りがしません。

 

他に、変わり豆腐。

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辛子豆腐

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卵豆腐

 

そして、おからサラダ。

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恐る恐る食べてみたティモシー。

「美味しい!!!」とめっちゃ気に入ってた(笑)

この他にも鶏肉の煮物や、京都のお茶漬けにご飯と、お腹いっぱい食べさせてもらいました。

 

京都の町家見学

 配達から帰ってきた亀さん。

「日本の家、みた事あるか。ちょっと、見てみるか。」 

亀さんの家を隅々まで見せてもらいました。

 

初めてみる町家の中。仏壇の前でご先祖様のお話。

婿入りで豆腐屋を継いだ亀さんがどれだけ苦労をしたかを語る、亀さん。

  

こっちおいで。と屋上を見せてくれる亀さん。

「ここでな、毎朝作業する前にコーヒー飲むんや。」

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ここは亀さんのリトルガーデン。屋上に盆栽や果物の木を植えています。

 

盆栽好きのティモシーは大興奮してた(笑)

 

「ここは、カラオケルームやで。」

陽気な亀さん、和室の一角にカラオケのセット一式まで置いてました。

 

日本の家を初めて見た、ティモシーは終始大興奮。

 

居間へ戻るとお母さん。

デザート食べるか」 

杏仁豆腐をだしてくれました。

 

亀さんは後片付けへ。ティモシーと私で杏仁豆腐を頂きながらお母さんを呼びました。

すると、ティモシーが「これ、日本で買って大事にしてるんだ」と。

 

御朱印帳でした。

 

最後のページを今日行った、伏見稲荷にしたかったんだ。と言いながら

綺麗に全てのページに押された御朱印を見せてくれました。

 

するとお母さん。「私も御朱印帳集めてるよ。」

 

持ってきてくれた御朱印帳は5冊。全国の御朱印帳を集めをしているそう。

 

ティモシーも、目を子供みたいにキラキラ輝かせて丁寧に紙が一枚、一枚に挟まれている5冊に渡る御朱印帳を1ページ1ページ眺めてました。

 

お母さん)「これ、高知の巡礼した時のやつ。」

ティモシー)「これ、めっちゃ綺麗!!」

お母さん)「あーこれな。これ、鎌倉のお寺でな。6月の紫陽花の時期限定の御朱印やねん」

ティモシー、紫陽花が好きなようでその御朱印をすごく気に入ってました。

 

そこで「あれ?」とティモシー。「これ、両面ある?」

ティモシーの御朱印帳、よく見てみると片面しか御朱印がない。。

 

ティモシー)「伏見稲荷、最後じゃなくなったーー」

お母さん)「また、日本帰ってこなあかんなぁ」

 

豆腐切りにチャレンジ

 亀さんが帰ってきました。

 「豆腐できてるで〜 切ろか」

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すっかり、弟子と師匠に見えるティモシーと亀さん


豆腐を水に浮かべて、豆腐を綺麗に切っていく亀さん。ティモシーも切り方を見ています。

 

「やってみるか。売りもんやからな、しっかりな。」

 おそるおそるやってみるティモシー。

 

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「あれ、結構ええスジやん」と亀さん。

 

ティモシーのベルギーでのお仕事は技術士。だから、手先が器用なようです。

 

亀さん)「このまま、全部やってもらおか(笑)」

亀さん)「こんなうまかったら時給払わなあかんなぁ」

 

豆腐が切り終わり、そろそろ時間なので、と私。

 

立ち上がって帰る準備をしているとお母さんが近づいてきて、

「これ、どうぞ。」と。

 

さっきティモシーが気に入って見ていた紫陽花の御朱印をティモシーに手渡しました。

 

ティモシー)「お母さんにとって大切ですよね?いいんですか?」

お母さん)「私はいつでもいけるんやから、ええんよ。」

 

福井屋さんを後にしました。

 

ティモシーにどうだった?って聞くと、

「あんなHumanicな体験は今まで経験したことがない。日本で最高の思い出になったよ。ありがとう」と。 

 

レビューもしっかり書いてくれました。

 

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体験を通じて思った事

  • ベルギーからはるばる日本へ来て、京都のはずれの商店街にある小さな豆腐屋で豆腐を作っている事。
  • 本来なら絶対に出会うのない、日本語が話せない訪日旅行者と英語が話せない亀井家の二人が出会って居間でお互いについて語り合っている事。
  • 出会って2時間後には「またくるね!」「またいつでも遊びにおいでや」と最後笑顔で手を振り合っている事。
  • 「10日間日本中色々な所へ行ったけれど、日本で最高の文化体験ができたよ」とゲストが伝えてくれた事

 全て、うちのサービスだからこそ、できた事。

 

私たちは「訪日旅行者にとって日本での最高の思い出を作る」というミッションを掲げて事業をしてます。

 

「旅行者に地元の人と暮らしに飛び込んで、地元の人との交流を通じて日本文化を体験できる」

体験を一つ、実現する事ができたかなと。

 

もちろん、事業を伸ばす為には軽く「売れる体験」も必要で。例えば、飲み歩きツアーとかね。

 

でも、「売れる体験」=「最高の思い出になる」では必ずしもないなと。

 

一方で、私たちのミッション、ビジョンが体現される体験も、必要やね。と改めて思いました。

 

インバウンド市場の体験や施設の中で「観光商材」が多い中、

「旅行者に、現地の人との交流を通じて日本文化を体験してもらう」事をこれからも大事にしていきたいです。

 

これからも、旅行者に最高の思い出を届けていきます。

 

 

長々と、最後まで読んでいただきありがとうございました!